審査員評

アール・デコの都会のクールさを表現した絵もあれば農園で楽しげに働く女性もある。
どれも色調を抑えたかっこいい表現だ。
アート界では写実が長い間ブームだがこのような絵が二、三点あったらその部屋はどんなにガラッと変わるだろうか。絵を中心に家具も変わってくるだろう。
そしてそこへ住む人の会話も。そんな力を感じだ作品である。

小林正直（二科会デザイン部会員）

シンプルな線と抑えた色調、斜めの構図や、濃淡で遠近をつけた画面。
切り絵風でありながら現代的で、ハイライトの白が絵に生命を与えています。

田中淑恵（ブックデザイナー）

スマートな都会的センスとテイストに溢れたシャープな作風です。
切り絵風の描写にも関わらず、細密描写に劣らない奥行きを感じさせるのは色彩のコントラストの妙味と舞台設定が見事に調和しているからでしょう。
少女の内面性が痛いほど伝わってくる魅惑の秀作です。

増本大二郎（二科会デザイン部会友）

多くの人々に好まれるスタイルの作品で、個性的な作風が多い今回の候補者の中で最もイラスト業界ビジネスシーンでの期待を感じさせました。
この受賞をきっかけに、是非プロのイラストレーターとして一歩踏み出してください。

山本さと子 （版画家）

1番目の作品のタイトルが "Electric owl" なのは何を暗示しているのだろう。
構図を斜めにしているのも何か不安な心情を表現しているのだと思います。
3番目の作品のタイトルが "The End Of The World" となっているのも気になります。
何気ない日常の光景を描いているようにも見えますが、背景の強い光は他のものを想像させます。

蟹江隆広（日本イラストレーター協会 会長）

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