審査方法
審査員はアートディレクター、デザイナー、ブックデザイナー、イラストレーター各1名づつ、そしてJIAの代表の5人で構成しました。
1番いいと思う作品に対して10ポイント、2番目にと思う作家に7ポイント、その他の入賞候補14名に4ポイント、さらに入選候補30名に1ポイントづつ入れてもらいました。
最終的に5人の審査員のポイントを集計して、各賞を決定しました。
最優秀賞には22pt獲得した垣野緑さんが選ばれました。
優秀賞には20ptを獲得した魚住幸平さんが選ばれました。
18ptから10ptまでを入賞に、9ptから4ptまでを佳作としました。
今回から新たに設けられた翔泳社賞には諸見里桂子さんが選ばれました。
Bes in 立体オブジェ賞、Bes in クラフト賞、Best in 3D-CG賞は10pt以上で該当する作品がありませんでした。
代わりにBest in アートイラスト賞、Best in メルヘンイラスト賞、奨励賞を各2名づつとしました。
全体評
アートディレクター 竹中 隆雄
より良く伝えようとして、考え過ぎ/描き過ぎ/説明過剰(Too Much)な作品が多いという傾向を感じました。
もう少し戦略的に抑制を加えると際立って良くなるのではないかと思われる作品が多かったように感じます。
ポイントを付けた作品は、市場的需要のありそうなモノ、これからの可能性を応援したくなるモノの2軸に分かれました。
デザイナー 佐藤 比路志
久々にコンペの審査をやることになり、皆さんのイラストを拝見させていただきました。
今回は作品のサイズが統一されたのか、審査は非常にやりやすかったのですが、突き抜けた作品が見あたらなかった気がします。
イラストと言うからには原画の大きさはあまり関係ないのかもしれませんが、コンペということやその後の展示などを考えるとやはり大型の迫力、立体としての質感、素材感など生の迫力が審査員をわくわくさせるモノだと思います。
この辺のコトは今後の課題としたいと思います。
イラストって何だ?
と言うことについて以前、書いたような気もしますが新たに思うことをひとつ。
通常イラストレーターはデザイナーやコピーライターの人たちとコンセンサスを取りながらひとつの仕事を完成させていくわけです。
このようなコンペにおいてはイラストレーターのみで作品を作り完結させて、出品するのですが、デザイナーとしてそれらの作品を見たとき、「あっ、この作品に私のデザインを付加したい。」と思うイラストって素敵だと思います。
別な言い方をすると、イラストプラスαが見えてくるんですね。
今回、そんな懐の深い作品を中心に選出してみたつもりです。
ブックデザイナー 田中 淑恵
画材やテーマや技巧もさまざまで、全体にレベルが高かったと思う。
オリジナリティーの面では、既視感のある作品も少なからず見受けられて、テクニックよりも、今まで見たことのない目を瞠るような作品が、もっとあってもよかったのではないかと感じた。
イラストレーター 田部 隆
今回初めて、こちらでの審査をさせていただきました。
私は主に東京アニメーター学院で教えておりましたが、その生徒達の力量をベースとしてこちらでの作品を観させていただきました。
思った事を言いますと、完成度のある出品者が相当数で、参考に大変なりました。
独自の作品も、これはエポックメーキングになるだろうと思われた作家も2、3人おりました。
これらの作家がこの先、それらの独自の方向に向って仕事されていく事が、とても楽しみになると思いました。
何点か同時に複数出品されている方に良いものがあったと思いました。
審査にあたってリスポンシビリティーと考えた事も確かですが、多分良いと判断したモノはきっと他の先生も感じるだろうとも思いましたし、インターナショナルの国際コンクールでこの先、全世界から作品が集まって来る事を望みます。
この様なコンペが加えてふえていく事も望みますし、少しカテゴリーをせばめて集めてみるこころみも必要と思いました。
日本イラストレーター協会 理事長 蟹江 隆広
出品者数218人、出品作品総点数358点、昨年と比較するとだいぶ増えました。
出品料の値下げ、おじゃら画廊での展示、翔泳社賞の追加などの理由が考えられます。
今回 作品のサイズをB4に統一することになって、その分迫力のある作品が少なくなったような気がします。
半面、サイズが統一されたことで、作品に対する評価が公平になったような気もします。
このサイズの中でどのように構成して、見る人にインパクトを与えるか、構成力が問われます。
選ばれた人達は皆、他の人にはない個性、色彩感覚、描写力、構成力など、すぐれたものを持っています。
今後、その長所を生かしながら、ますます腕にみがきをかけて、制作活動にはげんでいって下さることを期待します。
審査員略歴
竹中 隆雄
1966年兵庫県豊岡市生まれ
広告代理店・デザインプロダクション・出版社勤務を経て多様な職能を積み上げた後に、2003年世田谷区にて独立。
2005年に法人化。現在、おもに広告、商品開発分野のクリエイティブディレクターとして活動。
[受賞歴]
http://www.206.co.jp/03aboutus/01data.html
[仕事の一例]
札幌駅ビルのアート広告(ディレクション〜イラスト制作まで)
http://www.lager.ne.jp/fukui/.cgi/photo/file/i-0bea-0000.jpg
商品企画
http://www.city.sapporo.jp/keizai/sapporo-style/award.html
シェル美術賞出展
http://www.artnavi.ne.jp/features/features_bn/shell03/shell03.html
著書
http://store.shopping.yahoo.co.jp/7andy/31815348.html
特許提供〜商品プロデュース
http://direct.sanwa.co.jp/ItemPage/JP-PF2A4
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佐藤 比路志
栃木県宇都宮市出身、現在東京在住
多摩美術大学美術学部グラフィックデザイン専攻卒業(昭和55年)
広告プロダクション・広告代理店を経て1999年フリーランスとしてデザイン・イラスト・講師の3面で活動。
現在、江東服飾高等専修学校(高等課程・専門課程) メディアデザイン講師
第4回 NAAC展 東京アートディレクターズクラブ部門 入選(昭和57年)
国際SFアート大賞 イラスト部門 入選 (昭和58年)
フルーツメール・ホームページデザインコンテスト 優秀賞受賞(平成13年)
2002年アスキー年賀状コンテスト 入賞
中央区江戸開府400年記念ポスターコンテスト 佳作賞(平成14年)
マグロのシンボルマークコンテスト 佳作賞(平成14年)
プロスポーツ指導者養成協会平成14年度ポスター募集 作品採用(平成14年)
平成14年度大気汚染防止推進月間ポスターコンテスト 佳作賞(平成14年)
みんなのデザイン
http://www.design164.com/
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田中 淑恵
東京都出身。
中学生の時に『ハイネ詩集』の豆本をはじめて作る。
武蔵野美術大学卒業。
文化出版局に勤務ののちフリーの装丁家となる。
装丁と小さな本の個展を開催し、本作りの講師も務める。
装丁書に『百三十九冊の不思議な本』斎藤正一/文化出版局、『愛しすぎる女たち』R・ノーウッド/読売新聞社、小学館の『ダレン・シャン』シリーズなど。
著書に邑崎恵子の筆名で物語集『水絵具の村』(新書館)、詩集『ミモザの薬』(鏡書房)、『自分で作る小さな本』『私だけの一冊を作る』(文化出版局)などがある。
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田部 隆
1953年神戸生まれ。
上智大学比較文化学部終了。
コロンビア大ALA卒。
ハートフェード芸大留学。
杉野ドレスメーカー学院国際部終了。
エコール・ド・細野卒。
細野久デザイン賞受賞
全国縦断ウールマークおしゃれコンテスト特別賞受賞。
著書「分かりやすいファッション画の描き方」など。
http://www.iyasaka-c.com/gallery_holder/frame_gallery.htm
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蟹江 隆広
1955年 岐阜県多治見市に生まれる
1977年 関西大学工学部を4年で中退後渡米、サンフランシスコで2年間遊学
1981年 4月東京デザイナー学院入学
1983年 4月レベル工房入社(エアーブラシの会社)
1985年 レベル工房退社後フリー
1987年 (株)シュガー入社(イラストの会社)
1987年 日刊工業新聞広告賞金賞受賞
1988年 日刊工業新聞広告賞金賞受賞
1989年 日刊工業新聞広告賞銀賞受賞
1989年 (株)シュガー退社後再びフリー
1990年 (有)クレア設立(イラストの会社)後に(株)クレアに組織変更
1999年 日本イラストレーター協会設立
2004年 (株)クレアの代表取締役を降りる
2006年 200 Best Illustrators Worldwide 2006 選考委員
2007年 ソサエティー・オブ・イラストレーターズ会員に認定
2007年 200 Best Illustrators Worldwide 2007-2008 選考委員
2008年 ZEN展優秀賞受賞
2008年 現在日本イラストレーター協会理事長
▼リアルイラスト・ファンタジックイラスト 蟹江隆広
http://www.maroon.dti.ne.jp/kanie/
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