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◆♪【イラストレーターズマガジン】♪◆
vol.36 2005.1.7 購読者数 491名
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メルマガをご登録いただきまして、ありがとうございます。日本イラストレー
ター協会の蟹江です。このメルマガは全て、私の20数年のイラストレーター
としての経験、そしてコーディネーターとしての経験に基づいて書いています。
どのようにしてイラストレーターになったか、売り込みの仕方、料金交渉のコ
ツ、著作権問題のことなど、あなたのお役に立てれば幸いです。
▼バックナンバーもご覧下さい。
http://backno.mag2.com/reader/Back?id=0000149729
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前回は私が以前講師をやっていたことがある、代々木アニメーション学院につ
いてお話ししました。
授業で私が実際に仕事をしてみせた時のことを書きましたが、それに関して、
前々回紹介しましたサンフランシスコのAcademy of Art Univercity に通う
由夏さんから感想のメールを頂きましたので引用させて頂きます。
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Vol.35を読んで思った事:
専門学校で先生がデモをやらないと知って、驚きました。
口頭だけの説明で技術が身につくなら学校に行かなくとも、本を読んでいれば
充分だと思います。
私の通う大学の授業では先生がテクニックのデモを生徒に見せるのはごく当た
り前の事です。私は英語のハンデがあるので尚更ですが、他の生徒達もデモを
見る目は真剣です。
蟹江さんの先生の「見せ物じゃないから」というのは、私が言われたら腹が立
つと思います。「じゃあ、私は何の為に学費を払ってこのクラスを取っている
んですか?」と言い返してしまいそうです。
真剣に描いている所を大勢の生徒達に見られるのは、確かにプレッシャ−でも
あるし、気が散るかもしれません。それは私の先生達も大半が言っていました。
それでも、教師(講師)という立場なら、生徒にデモ(技術を直接見せること)
だって大事な役目だと思います。
「コックでも大工でも先輩の仕事を横目で見ながら覚えていくものです。
完成した作品だけ見ても過程は分からないことがあります。」
蟹江さんは、分かってらっしゃいますね。完成した作品から技術が分るのは、
その技術をものにしている者だけだと思います。(なので、私は完成品を見た
だけでは分らない事だらけです。)
「とにかく、目で盗め」「技術を盗め」これは昔から技術職の人達の間では言
われてきましたよね。
蟹江さんの生徒達がデモに関心を示さなかったというのは信じられません。
由夏
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メルマガの感想ありがとうございます。
そうですよね。先生がデモをしないのは合理的ではないと思います。
でも私の記憶では先生がデモをしたという記憶はありません。
その点アメリカは先生にシビアですね。
それが当然ですよね。
日本の講師が手抜きだと思います。
−−−−−−−−−−−−−−−−ココカラ−−−−−−−−−−−−−−−
アメリカでは先生が生徒にシビアな分、生徒も先生に対してシビアになれるの
だと思います。ましてや私立の美大ともなると、ビジネスが多く絡んでくるの
で、学校側からすれば生徒は大事な「お客さま」でもあるわけです。
特に留学生は「お得意さま」なので、学校側に抗議やリクエストがあればどん
どんするべきだと私は思っています。留学生は留学してでも学びたい、という
強い意志を持った生徒が多いし、毎学期決められただけの単位をしっかり取っ
て授業料を支払わないとその国にいられなくなるので「お得意さま」というわ
けです。
話がそれてしまいました。
元に戻すと、デモ(視覚に訴える教育)がいかに大切か、それは留学生(海外
在住外国人)という立場に一度でも立った者のほうがより良く分るのではない
か、という事です。
日本の講師が手抜きをしているかどうかは置いておいて、国内の学校で生徒が
国内からのみの状況だと「言葉さえあれば通じるだろう」という思い込み(あ
る種の安心感、怠惰)に繋がりやすいのではないでしょうか?
ア−ト(特にイラストレーション)はコミュニケーション(何かを誰かに伝え
る為)に生まれたもののはずなのに、それを教える人達が「言葉で説明するだ
けで大丈夫」と思っていまうのは、何だか根本的なものがズレている気がして
しまいます。
由夏
−−−−−−−−−−−−−−−−ココマデ−−−−−−−−−−−−−−−
そうですね。イラストレーションはビジュアルコミュニケーションの手段です
から、実際にやってみせるということは重要だと思います。
私は(株)シュガーで他のイラストレーター達と一緒に仕事をする上で多くの
ことを学びました。
一人で仕事をしていると、どうしても視野が狭くなります。
余り興味がなかった分野の仕事も見ることで、広告業界、出版業界全体のこと
も分かってくるし、他のイラストレーターのテクニックも盗むことができます。
私はその後(株)クレアを設立しましたが、社内のイラストレーター達がお互
いライバル関係にあり、切磋琢磨することで、短期間でとても伸びてきます。
一人でやっているとなかなか分からないことも教えてもらったり、人が描いて
いるのを見ることで短期間に収得することができます。
−−−−−−−−−−−−−−−−ココカラ−−−−−−−−−−−−−−−
PS. カレンダーの仕事のお給料(?)に少し驚きました。今では大手の会社の
カレンダーでも値下がりしていますか?それとも、アメリカと同じで大手広告
系のイラストレーションは桁が違うのでしょうか?
カレンダー12枚のイラストレーション全てにかかった時間は合計でどの位で
すか?大体カレンダーの仕事というのは1年のどの辺りに回ってくるお仕事な
のでしょうか?
12枚も描くとなると、ある程度の時間がないとキツイですよね。印刷の時間
も合わせて考えると、6月頃にはすでに仕事が出回っているのでしょうか?
分らない事、知りたい事だらけです。
由夏
−−−−−−−−−−−−−−−−ココマデ−−−−−−−−−−−−−−−
三菱農機のカレンダーの仕事は、バブルがはじける前だったので、ギャラが良
かったのです。
私の場合B3のボードに描く場合、1点20万円前後のギャラをもらっていたので、
12枚で150万円でもそれほど割のいい仕事という訳ではなかったです。
1枚描くのに普通7日くらいはかかりますから。
1日あたり3万円くらいの計算です。
カレンダーの仕事はとてもプレゼンが厳しいです。
競争率20倍〜30倍は普通です。
バブル崩壊後は描き起こしは少なくなりました。
ほとんどありもので、予算もかなり厳しくなっています。
12枚描いても100万円いかないのがほとんどです。
春頃から翌年の企画が始まって夏にはイラストが仕上がっているというような
スケジュールではないでしょうか?
以前と比べカレンダー自体が随分少なくなったように思います。
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カレンダーのお仕事についての丁寧な説明有難うございました。
一枚で7日間となると、確かに150万円でも割が良いわけではないですね。
特に蟹江さんのようなディテ−ルにこだわったリアルイラストレ−ション(と
いうのですか?)だと、それ以上のギャラを貰ってもいいように思えます。
やはり、バブル崩壊前と崩壊後では事情がだいぶ違うようですね。
それにしても、まさか春から企画を初めて夏頃にはもう出来ている、という進
行に驚きました。私が思っているよりもずっと早くから進めるものだという事
が分りました。
1枚描くのに大体7日、というお話について質問があります。これはリサ−チ、
資料集め、コンセプトスケッチ、ラフ、バリュ−やカラ−のラフ、下絵など、
全てを含めての日数でしょうか?
アートディレクタ−(企画担当者)の許可を得ずに最初から最後まで仕上げる
事はないと思うのですが、大体どの段階までをプレゼンで見せますか?(これ
はクライアントによるかもしれませんね)
また、気になるのが「競争率20倍〜30倍」という部分です。もしかして数
人のイラストレーターがそれぞれラフスケッチなどをプレゼンテ−ションで発
表し、その中から会社が選ぶ、という事なのでしょうか?そうなると、選ばれ
なかったアーティストはノ−ギャラでプレゼンだけする結果に終わるのでしょ
うか?
それから、こういった事は日本の専門学校に行くと学べるものなのでしょうか?
(もし、そうであれば、とても興味があるのですが。。。)社会人向けのセミ
ナ−などがあれば最高ですが、こういったビジネスに関しての情報は入手が困
難なのが普通なのでしょうか?
由夏
−−−−−−−−−−−−−−−−ココマデ−−−−−−−−−−−−−−−
一枚描くのに大体7日というのは全てを含めての日数です。資料集めからラフ
まで大体1日、クライアントからの指示でラフの修正に半日、トレペにトレー
スアップしてイラストボードにトレースダウンに半日。着色に5日といったペ
ースです。
リアルタッチの場合は着色にとても時間がかかるので、下絵までは余り時間を
かけられません。
クライアントチェックはラフ段階、着色後の最低2回はあります。修正が入れ
ばOKが出るまで何回でも見せます。
カレンダーの競争率が20〜30倍というのは、例えば5社の競合プレゼンの場
合、各社で5人づつのイラストレーターをプレゼンにかければ、それでもう25
人のイラストレーターが候補に上がる訳です。
その中からだんだん絞られていき、1人だけが仕事にありつける訳です。
たいていはありものでプレゼンする為、実際に描くのは一人だけです。
まれに複数の人にラフを描かせる場合もありますが、その場合はラフ代として
少しもらうようにしています。
ラフ代を出さないクライアントもいるようですが、日本イラストレーター協会
としては、極力ラフ代を出してもらうようにしています。
このようなことはほとんど学校では教えてくれません。
私は会社に所属していたので、多くのことを学ぶことができました。
メルマガを購読して頂いている皆さんにだけ、教えてあげますね。
日本イラストレーター協会に入会して頂けば、実際のお仕事を通して、もっと
いろいろ学べますよ。
次回は話をもどして、私が東京デザイナー学院を卒業してエアーブラシの工房
に就職して時のことをお話したいと思います。
お楽しみに・・・
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■ 発行責任者 : 蟹江 隆広
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